やっと会えた友達

日記

一年四か月ぶりの再会までの長い道のり

先日、ようやく、本当にようやく、久しぶりに友達に会うことができました。
数えてみると一年四か月ぶり。
数字にすると大したことのないように見えるけれど、その間に起きたことを思い返すと、心の中ではもっと長い時間が流れていたように感じます。

あの日の夏、中目黒で倒れた夜のこと

前回会ったのは昨年の中目黒の夏。
夕方でも熱気がまとわりつくような湿度の高い日で、お店の冷房と外気の温度差もあって、身体がうまく調整できなかったのかもしれません。

普通に会話をして、いつものように笑って、お酒を飲んで……
私は、そんな何気ない時間の中で、突然ふっと意識が遠のいていきました。
顔に血の気が引いていく感じと、全身がふわっと浮いていくような感覚。

気づけば友達が必死に私の名前を呼んでくれていました。

私は壁に寄りかかって意識を失っていました。

必死に友達が読んでくれたので、意識は戻ったので。
救急車は呼ばずに済んだけれど、あの瞬間の恐怖は想像以上でした。
「もう大丈夫?」と心配そうにのぞき込む友達の顔が、今でもはっきり思い出せます。

あの一件以来、私は静かに自分と約束しました。
夏の飲み会には参加しない”
無理をしないこと、季節と身体の弱さをきちんと受け止めること。
怖い思いをした自分にとって、その決断は自然なことでした。

「会おうね」といいながら、お互いに動けなかった一年

そんな友達とは、あの日の後も「また涼しくなったら会おうね」と話していました。
ところが昨年10月、今度は私が足を骨折。
歩くのはもちろん、電車に乗るだけでも一苦労だったので、本当に用事がなければ、出かけるのは辞めました。

しばらく外に出るのが怖くなりました。

足がようやく良くなって「あ、そろそろ行けるかも」と思いはじめた頃、今度は彼女がお風呂掃除をしていて、転んで肩を骨折。
「まさかの連鎖だよね」と笑い合いながらも、内心ではお互いに「また先延ばしになっちゃうね」と二人で少し切なくなりながら、治ったら会おうねと約束をしました。

ケガをすると、ふだん当たり前にできていたことが急に不便になります。
外に出るまでの「よし行こう!」という勢いも必要で、気持ちが晴れない日も増えました。
だから、会いたくても会えない時間が続いてしまいました。

そして私には“夏の飲み会NG”というハードルもあり、タイミングはますます限られていきました。

ようやく迎えた、待ちに待った再会の日

そうして迎えた、待望の再会。
どれだけ時間が空いていても、会いたい人と会う日はやっぱり特別です。

今回選んだのは、和の名匠・中村孝明さんの店で長年技を磨き、どこかの総料理長を務めて、その後今のお店に移った方のお店。
銀座の一角にありながら、どこか穏やかで、凛とした佇まい。
席に通されるだけで「あ、今日はきっといい時間になる」と直感できる空気でした。

仙台牛A5のすきやき御膳と、心に染みる“職人のまかない”

いただいたのは「すきやき御膳」。
仙台牛A5ランクのお肉は見惚れるほど美しいさしが入っていて、脂が甘く香ってくるよう。
口に入れた瞬間にすっとほどけて、思わず目を閉じて味わいたくなる柔らかさでした。

さらに驚いたのは、総料理長からのサービス。
大根とフィレ肉の上品な一皿。
そして、季節を感じさせる松茸の天ぷら——

「こんなにいいんですか?」
思わず聞き返したくなるような、温かな心遣いでした。

どれも派手さはなく、丁寧で、滋味深くて、まるで“料理そのものが話しかけてくる”ようでした。
銀座にあるのに良心的な価格で、総料理長もとても気さくで、心がじんわり柔らかくなるお店でした。

 

久しぶりの会話は、時間を巻き戻すようにゆっくりと

久々に向かい合ったテーブルでは、すぐに昔のように話が始まるわけではなく、少しずつ、ゆっくりと流れ始める会話が心地よかったです。

骨折の話、リハビリの大変さ、家での過ごし方。
「そんなことあったんだね」と言い合いながら、会えなかった時間の隙間に少しずつ言葉が満ちていきました。

彼女の肩はまだ完全ではないけれど、前より動くようになってきていると聞いて、本当に安心しました。
顔色も明るく、声に張りが戻っていて、それだけで胸がふっと軽くなりました。

怖かった記憶も、痛かった日々も、やさしい余韻に変わる

中目黒で倒れたあの夜の出来事も、
足の骨折で動けなかった日々も、
彼女の肩の痛みも、
すべてが、今日この再会をより深く、より温かく感じさせてくれました。

「また無理のないタイミングで会おうね」
銀座の街を歩きながらそう言い合った帰り道。
夜風がほんのり涼しくて、心の奥に小さな明かりが灯ったような、そんな気持ちになりました。

会えるって、こんなにも嬉しいんだ。
ただそれだけのことが、こんなにも心を満たしてくれるんだ。

久しぶりの再会は、そんなことを静かに思い出させてくれた大切な一日でした。

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