【第2回】キャリアコンサルタントの伝え返し:意思決定を支える技術

キャリアコンサルタント

こんにちは。
「キャリアコンサルタントと産業カウンセラーの伝え返しの違い」シリーズ、第2回です。

今、産業カウンセラーを勉強している私の整理をすることも目的にしています。

今回は、キャリアコンサルタントにおける伝え返しの特徴と使い方について、具体的に見ていきましょう。

◆ キャリア支援における伝え返しの役割

キャリアコンサルタントの目的は、クライエントが自分らしいキャリアを選択し、行動していくための支援を行うことです。
そのため、伝え返しも単に共感を示すだけでなく、次のような構造的な役割を持ちます。

🔹 1. 情報や状況の整理

クライエントの話の中から、事実・背景・価値観・迷いなどを整理して返すことで、クライエント自身が頭の中を整理しやすくなります。

🔹 2. 意味づけの明確化

本人が無意識に話している言葉の中にある「意味」や「重要な視点」を明確にする手助けをします。

🔹 3. 意思決定への橋渡し

「では、自分はどうしたいのか」「何を大事にしたいのか」という問いへつなげていく、いわば内省から行動への架け橋です。

◆ 感情だけじゃない、「整理する伝え返し」

産業カウンセラーでは「感情に寄り添う伝え返し」が中心になりますが、
キャリアコンサルタントでは、感情に共感しつつも、「意味」や「課題」「選択肢」に焦点を当てた伝え返しが特徴です。

たとえば、次のようなやり取りを見てみましょう。

◆ 会話例①:評価されないつらさ

CL(クライエント):
上司に何をやっても評価されないんです。頑張っても頑張っても認められなくて…。
もう、やる気が出ないし、転職も考えちゃいます。

CC(キャリアコンサルタント):(例えば 一例です)
頑張っているのに認められないと感じていて、そのことがモチベーションの低下にもつながっているんですね。
評価されないことで、「このままでいいのか」という気持ちが強くなって、転職も一つの選択肢として浮かんできていると。
いまの職場に感じている違和感や、これまで大切にしてきた価値観について、少し一緒に整理してみませんか?

ポイント解説:

  • 感情(やるせなさ)には寄り添いながらも、「評価されないことがキャリアにどう影響しているか」という意味づけを返している

  • 行動(転職)を焦らず、「今どういう価値観が揺れているか」に目を向けている

◆ 会話例②:やりたいことが見つからない

CL:
今の仕事に不満はないんですが、なんだか毎日が淡々としていて…。
自分のやりたいことがわからなくなってきて、将来がぼんやりしています。

CC:(例えば 一例です)
不満があるわけではないけれど、充実感や手ごたえが感じられなくなってきているんですね。
「このままでいいのかな」という思いから、ご自身の将来や可能性について考え始めているのかなと感じました。
これまでに「やりがいを感じた経験」や「自分らしいと感じた時間」はありましたか?

ポイント解説:

  • 漠然とした悩みに対し、内面の「問い」を伝え返しで浮かび上がらせている

  • 問題の本質(将来像・価値観)を一緒に探る意図がある

◆ キャリアコンサルタントの伝え返し:3つのコツ

☆ 感情と意味を両方返す

ただ「つらかったんですね」だけで終わらず、
「それが、あなたのキャリア選択にどう影響しているか」まで含めて返す。

☆ 行動に直結させない

すぐに「じゃあどうしますか?」に飛ばさず、
「今、どんな意味づけがされているか」「どんな価値観が動いているか」を探る。

☆ クライエントの言葉を丁寧に引き出す

「この人に話すと、自分の中が整理されていく」と感じてもらえるように、
相手の言葉の中から「軸」や「大事にしていること」を丁寧に返す。

◆ 誤解されやすい「キャリア寄りの伝え返し」

ときどき、キャリアコンサルタントの伝え返しが「感情に寄り添っていない」と言われることがあります。
でも、それは違います。

キャリコンの伝え返しも、感情への共感を土台にしているのです。
ただその上で、「ではどうしたいか?」に向けて構造を意識して返している、という違いがあります。

◆ まとめ:キャリアコンサルタントの伝え返しは「意味と選択を支える」

キャリコンの伝え返しは、
「話を聴く」だけでなく、
「考えを整理し、気づきを促し、意思決定へつなげる」という支援の意図を持っています。

そのためには、ただ言葉を返すだけではなく、
「この人は何に迷っているのか」「何を大事にしたいのか」に耳を傾け、
それを丁寧に伝え返していくことが大切です。

◆ 次回予告:産業カウンセラーの伝え返し

次回の第3回では、
産業カウンセラーの伝え返し:感情に寄り添う技術
をテーマに、キャリコンとの違いをさらに明確に見ていきます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
自分の伝え返しに少しでも自信がもてるよう、またクライエントの気づきを支えるスキルを磨けるよう、次回も一緒に深めていきましょう。

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