再就職という節目に、私が感じたこと

キャリアコンサルタント

再就職という言葉には、不思議な響きがある。


「もう一度働く」と書くが、その意味合いは人によってさまざまだろう。

子育てや介護など生活の都合で離職していた人もいれば、環境を変えたくて一度立ち止まった人もいる。

私もまた、その「もう一度」のスタート地点に立ったひとりだった。

最初に感じたのは、不安だった。

ブランクがあることで、自分の経験が通用するのか。

年齢、体力、社会の変化についていけるのか。

履歴書を前にして手が止まった。

かつて当たり前にこなしていた仕事の感覚が、まるで遠い過去のように思えたからだ。

しかし、不思議なことに、そんな不安と同じくらいに、静かな希望もあった。

前よりも少し人生を俯瞰できるようになっていたこと、自分が何を大切にしたいかを見つめ直した時間があったこと。

それらは、再就職前の自分にはなかった「芯」のようなものだった。

再就職を考えるとき、大切なのは「過去の自分に戻る」のではなく、「今の自分を信じる」ことだと思う。

以前の職場での成功体験やスキルに固執しすぎると、環境の変化に柔軟に対応できなくなる。

でも逆に、「自分なんてもう役に立たない」と思い込むのもまた違う。

どちらも、バランスを失った自己認識なのだと思う。

面接では、思ったより自分の言葉で話せた。

「また働きたい」と願っていたその気持ちが、伝わったのかもしれない。

働くことの意味は、かつてのように「成果を出す」ことだけではなくなっていた。

自分の時間を社会にひらき、誰かの役に立てること。それが、いまの自分にとっての「働く理由」だった。

実際に再就職してみて感じたのは、「自分を過信しないこと」と「無理に小さくならないこと」の両立だ。

知らないことは素直に聞く。

疲れたら休む。

でも、自分の考えを持つこと、自分なりのやり方を模索することを諦めない。

それが、再スタートを支える日々の態度なのだと思う。

再就職には、確かに勇気がいる。

けれど、それはゼロからの出発ではない。

人生の途中で少し立ち止まり、方向を確かめてから、また一歩を踏み出すというだけのこと。

その一歩が、きっとこれからの自分に、新しい風景を見せてくれる。

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