鳥羽水族館で出会う、今や日本で唯一のラッコ

日記

三重県鳥羽市にある鳥羽水族館は、日本でも有数の規模を誇る水族館です。

約1200種類にもおよぶ生き物が暮らし、その展示方法の自由さと工夫は訪れる人をいつも楽しませてくれます。

そんな数ある見どころの中でも、やはり多くの人の心をつかんで離さないのがラッコの存在です。

かつて日本の水族館には100頭以上のラッコが暮らしていました。

1980年代から90年代にかけては、ラッコ展示は一大ブームとなり、どこの水族館に行ってもラッコがいた、と懐かしく語る方も少なくありません。

しかし近年は数が減り、2025年1月に福岡のマリンワールド海の中道で暮らしていたオスの「リロ」が亡くなったことにより、日本でラッコに会えるのは鳥羽水族館だけとなりました。

現在、鳥羽水族館には「メイ」と「キラ」という2頭のメスが暮らしています。

メイは2004年、キラは2008年生まれで、どちらもすっかりベテランの年齢です。

それでも彼女たちは水中を軽やかに泳ぎ、観客の前に姿を見せてくれます。

仰向けになって貝をお腹で割る姿や、両手で顔をこするように毛づくろいする仕草は、何度見ても思わず笑顔になってしまいます。

展示水槽の前に立つと、ラッコたちの瞳のまっすぐさに心を奪われます。

子どもがガラス越しに手を振れば、ひょいと近づいてきてくれることもあり、歓声があがる瞬間はとても微笑ましいものです。

さらに人気なのが給餌タイム。ホタテや魚を器用に扱いながら食べる姿には、生き抜くための知恵と愛らしさが同居しています。

観客が思わず拍手を送る場面も多く、ラッコたちの存在感を改めて感じさせられます。

ラッコは実はとても繊細な生き物で、寒い北の海に適応するために毛を常に整え、体温を守っています。

1平方センチあたり約10万本ともいわれる密な毛が命綱ですが、その毛皮を狙った乱獲によって、ラッコは一時絶滅の危機に瀕しました。

現在もIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「絶滅危惧種」とされ、世界中で保護活動が続けられています。

「かわいい」だけでは表現しきれない力強さと繊細さをあわせ持つラッコ。

今や日本では鳥羽水族館でしか会えない存在であり、同時に人類の歴史の中で守るべき命でもあります。

彼らを目の前にすると、その尊さを自然と実感できるでしょう。

もし訪れる機会があれば、ぜひ時間に余裕を持って水槽の前でじっくり観察してみてください。

小さな仕草一つひとつが、日常の疲れを和らげると同時に、自然や命のつながりについて考えるきっかけにもなります。

水族館を出たあと、鳥羽の海を眺めながら「また会いに来よう」と自然に思える。

そんな特別な存在に出会える場所が、鳥羽水族館のラッコたちなのです。

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